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理経メールマガジン
(2017.9.28 掲載)
有線ドローンで災害現場の映像を伝送。迅速な災害状況の把握と救助活動をサポート!!!
大規模災害が発生した場合、被害状況を把握するためには航空撮影が有効であり、現在は、ヘリコプターやドローンが利用されています。しかし、これらは飛行時間や運用制限など課題も多く、実際に災害が発生した場合、継続的な映像を伝送することは困難です。また、通信インフラが遮断されると災害情報を入手することが極めて難しい状況に陥りますが、そのような場合でも災害状況を迅速に把握し、救助を行うことが必要になっていきます。
理経は、そのような問題を解決するために最新の技術を用いて、日々邁進しています。
8月29日(火)群馬県前橋市消防局で、「有線Droneを利用した移動型火のみやぐらとG空間(※1)システム連携の研究」の実験を理経、前橋市消防局、田中電気株式会社、工学院大学の協力のもと、行いました。
これは消防庁が募集した「消防防災科学技術研究推進制度」(※2)において、平成29年度の新規研究課題として理経が主任研究者として応募し、採択された研究です。この募集には32件の応募があり、そのうち9件が採択されました。
理経の「有線Droneを利用した移動型火のみやぐらとG空間システム連携の研究」は、政府方針を踏まえた重点研究開発目標を達成するための研究として採択されました。
※2 「消防防災科学技術研究推進制度」は、消防防災行政に係る課題解決や重要施策推進のための研究開発を委託する競争的資金制度。
実証実験の内容は?
有線ドローンと中継車の連携で「移動型火のみやぐら」を形成し、移動型かつ継続的な災害現場の中継とG空間を利用した災害対策本部システムとの連携により、下記の三つを目的に行いました。
1. 有線ドローンを使用した、長距離空撮ライブ中継システム
空撮ライブ中継システムは、有線ドローンを使用して最大122m垂直方向に飛行させることにより、空中から撮影した幅広い視野の映像伝送が可能です。これにより、どの地点で火事が発生しているか、避難民の状況など、さまざまな情報を入手することが可能です。 移動型のため従来の「火のみやぐら」と異なり、システム展開を迅速に行うことが可能になっています。また、有線経由でドローンに電源供給を行っているので最大12日間の連続飛行が可能で、持続性に優れています。有線ドローンは強固に製造されており、全天候型のドローンで、秒速18mの強風にも耐えることができる仕様になっています。
2. 長距離無線LANを使用した有線ドローン映像の伝送
前橋消防では、昨年度、理経が導入した4.9GHz帯の長距離無線LANが各拠点に設置されており、独自の通信インフラ環境があります。ドローンの空撮映像は無線LANを通じてさまざまな拠点で確認することが可能です。前橋消防では、震災などが発生した際にも長距離無線LANを使用することにより、自営通信網を通じて各重要拠点で災害情報の伝達が可能になっています。
3. ウェアラブル端末を使用した災害状況のライブ配信システムの検証
ドローンの空撮映像とGIS(※3)システムの連携により、迅速な災害状況の把握と、救助活動の支援を行います。ウェアラブル端末のライブ配信システムは、消防団員の消防服にカメラと小型無線アンテナを付けることにより、最前線の災害状況の映像を各拠点にリアルタイムで送ることができます。これにより災害本部は迅速に災害状況を把握することができ、局所的防災無線を利用して住民への的確な避難指示が行えます。
※3 GIS:緯度、経度などの位置情報を、地図上にマッピングして一目で分かるようにしたもの。
実験を終えて
当日は早朝に北朝鮮からミサイルが発射されたニュースが入るなど慌ただしい滑り出しでしたが、猛暑のなか、前橋消防、北消防白川分署の敷地内でデモを行い、多くの消防関係者の方々にご参加いただきました。
ドローンの飛行では、飛行姿勢が良く見えるよう想定した地上20mから、最高高度の地上122mまで終始安定した飛行でした。光学30倍のズーム機能搭載のカメラで遠い映像を手元に引き寄せるデモや、赤外線カメラの映像をモニターするデモと続き、電源喪失による非常着陸も行いました。いずれのデモも滞りなく、想定通り良好な結果となりました。
NHK、読売新聞社、産経新聞社をはじめ、複数のメディアからの取材もありました。
こういった取り組みは、これからもまだまだ続けていきます。次回の実験は、新宿地域の防災活動と連携し、八王子からの映像伝送なども計画する予定です。また、火山観測、津波観測、大気モニターなどへの活用も考えています。
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