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理経メールマガジン
(2023.10.18 掲載)
デジタルツインで加速する「製造業DX」
リアルタイム3D制作プラットフォームのトレーニングとは?
昨今、注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)。大手企業が推進すべく、ユーモアやインパクトのある広告を流しているので、ご存じの方も多いと思います。
製造業界では「製造業DX」が注目されています。ものづくりの現場でこれまで培ってきたノウハウやアナログな業務をIoT機器やITツールなどで一元管理し、生産性、品質向上を高めながらコストを抑えつつ、顧客や社会のニーズに合ったビジネスモデルに変革をもたらす、というものです。
理経は、自動運転車両開発用シミュレーション空間や災害対応トレーニングを数多く開発、提供していますが、そこで使われている技術は製造業DXにも欠かせません。
今回は「製造業DX」に必要なツールとして注目されている、リアルタイム3D制作プラットフォーム(Unreal Engine、NVIDIA Omniverse)を用い、企業で内製化するためのトレーニングについてご紹介します。
なぜ「製造業DX」が必要なのでしょうか?
人材不足
製造業界の多くの企業は人手不足に陥っています。特に若手の人材が不足しています。現場主義、職人主義で業務が展開されてきた製造現場では、多くの工程で属人化(※1)を招いていて、技能継承がなかなか行えなくなっているのが現状です。マンパワーに頼らなくても業務が遂行でき、技術を共有・継承しやすい体制づくりが必要です。
情報の可視化、生産性の向上
さまざまな情報のデータを収集し可視化することで、現状の把握や、生産・設備の状況を管理でき、問題が発生してもスムーズに解決できます。作業の効率化や生産性の向上、コスト削減に繋がるだけでなく、技能継承も行いやすくなります。
製造現場からのニーズ
製造現場では、CAD(設計データ)や3DCGで開発を行ってきました。その設計データやIoTで収集したデータを利活用し、仮想空間でシミュレーションや検証を行いたい、さらに、外に出せないデータがあるため、外部に委託せず内製化できないか、というニーズがあります。
※1 属人化:特定の社員だけが業務を担当することで、その当人が業務をはなれた時に内容や進め方をわかる人がいない状態。
リアルタイム3D制作プラットフォームの活用、現場のニーズを叶えるデジタルツイン
リアルタイム3D制作プラットフォームには、ゲーム制作に必要な3D描画処理、物理演算、衝突判定、サウンド入出力、アニメーションの作成や再生、視覚化するためのツールや多くの機能が実装されていることから、製造業の産業分野で導入が進められています。
現場で設計されたCADやCGデータを同プラットフォーム内に取り組み、デジタルツイン(※2)を構築すると、現実の製品に直接手を加えることなく、リアルタイムなシミュレーションを実現できます。設計や製造、工程の検証、製造設備の不具合や故障、性能低下を未然に防ぐ設備保全なども実現でき、開発や生産時間の短縮、コストダウンが期待できます。さらにAI技術を用いれば、生産現場で起きる可能性の高い故障や変化の予測をすることも可能になります。
※2 デジタルツイン:現実世界に存在する製品や製造設備などの環境データをリアルタイムに収集し、そのデータを仮想空間上に送り、現実世界と同じ環境を双子のように再現し、精度の高いシミュレーションを可能にする技術。
<デジタルツイン制作例>
ドローン開発用エミュレータ(※3) 株式会社ACSL 様
産業用ドローンの開発においては、一般的に実際の現場で実証実験を行いながら機体開発を行いますが、工場内などのテスト環境を用意することが困難です。そのため、デジタルツイン環境の中で、実際に近いドローンの飛行データを取得できるシミュレーション環境を構築しています。デジタル空間の映像データを実際に使うドローンのセンサーに入力することで、実飛行に近いシミュレーションが可能となりました。
(※3)エミュレータ:開発のための検証を実機の代わりにソフトウェアを用いて行う仕組み
ロボット制御シミュレーション 株式会社マクニカ 様
NVIDIA Omniverseで実際の工場を再現し、その中で稼働するロボットの制御シミュレーションを行っています。この仕組みにより、デジタル空間上でVisual SLAM(※4)や移動経路の試験など、多様なシミュレーションが可能となります。また、ロボットに搭載されるNVIDIAの組み込みボードと接続して、実ボードの開発もデジタル空間を用いて行うことができ、これによりロボット開発のスピードや搭載センサーの精度向上といった成果が見込まれます。
※4 Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping):画像処理を使用した自己位置推定を行う技術
内製化へ向けたトレーニング
理経はこれまで、リアルタイム3D制作プラットフォーム(Unreal Engine、Omniverse)を用いたシミュレーション、デジタルツインといったソリューションを提供してきました。2022年にはUnreal Engineの認定インストラクター資格を取得しています。これにより弊社認定トレーナーが基礎から応用まで幅広いレクチャーと実演を行うことで、Unreal Engineの習得をサポートすることが可能です。デジタルツインを構築するための多様なトレーニングプログラムも提供を始めています。さらに、理経が独自に培った技術力を加えた実践的な研修内容も提供できるようになりました。
ご興味のある方は、ぜひ下記をご覧ください。