3D Caliper
(2021.9.24 掲載)
3D CADでの厚みの検査にかかる工数を約70%減!
「3D Caliper」が、「厚み」と「距離」の解析を支援します!
CADソフトとして定評のある「Creo Parametric(以下「Creo」)」は、本社を米国ボストンに置き、IoT、AR分野においても評価の高いメーカーPTC社の製品です。今回は、この「Creo」をさらに便利にするアドオンソフトウェア、TECHSOFT社の「3D Caliper」を紹介します。
3D CADでモデル作成した後の「厚み検証」「クリアランス検証」「部品形状比較」
オーストリアのリンツに本社のあるTECHSOFT社の「3D Caliper」は、PTC社「Creo」にアドオンすることで新たな機能を追加する、「Creo」に完全統合されたツールです。「3D Caliper」はいくつかの機能を持ちますが、今回は代表的な三つの機能をご紹介します。
「厚み検証」機能
一つ目は、「厚み検証」という部品の厚みに関する測定機能です。例えば、自動車エンジンの設計を想定した場合に次のような手順、問題が考えられます。エンジンの燃焼室(コンバッションチャンバー)と冷却水用の通路(ウォータージャケット)の厚みが不足していると、破損して故障の原因になります。そこで、3D CADソフトで断面を何カ所も確認し、十分な厚みになっているか検証します。その際、垂直方向だけでなく、水平方向や斜め方向の厚みも問題がないか確認するには、膨大な工数がかかります。
「3D Caliper」は、一般的な3D CADソフトではできなかった全方向への厚みチェックを実施し、厚みの薄い部位(または厚すぎる部位)を自動検出し、製造前に問題のある領域を特定することが可能です。これにより適切な厚みがキープでき、エンジン部品の破損対策を製造前段階で実施できたという事例もあります。また、操作がとても簡単で断面を作成する必要がなく、設計にかかる工数の削減にも大いに役立ちます。
「クリアランス検証」機能
二つ目は、部品を組み合わせて一つの製品にしたときに、隣り合う部品同士がぶつからないかを測定する「クリアランス検証」と呼ばれる機能です。従来は二つの部品間で一番近い部分だけが検出され、2カ所目以降は気づかないということがありました。「3D Caliper」は、すべての部品に対して全方向(縦・横・斜め)で距離が保てているかを3D的にチェックでき、さらにその距離を数値で確認することができます。
「3DCaliper」では「Creo」のアセンブリファイルにおいて、部品間の最適な距離(クリアランス)が確保されていない部位を自動検出します。
「部品形状比較」機能
三つ目は、二つの部品形状の差異を検証する「部品形状比較」という機能です。これは二つの部品間で形状の違う場所を検知し数値化する機能ですが、設計の進み具合による形状の変化(試作時と量産前など)を確認したり、設計データと3次元測定データ(STL)とを比較して形状検討に役立てることが可能です。
「3D Caliper」の特長
「Creo」から直接起動が可能
「Creo」へ完全統合されているため、「Creo」のプルダウンメニューから直接起動することが可能です。
「Creo」のデータを利用してそのまま解析が可能
特殊な形式にデータ変換する必要がありません。
さまざまなジオメトリ(※1)に対応
ソリッドモデル(※2)はもちろん、サーフェスモデル(※3)なども解析対象となります。他CADからインポートしてソリッド化ができないモデルでも、そのまま解析が実行できます。
※1 ジオメトリ:コンピュータグラフィックスにおける描画対象の形状や、形状を定義づける頂点の座標や線分、面など図形を表す式の係数といったデータの組み合わせ。
※2ソリッドモデル:頂点や線・面で構成され体積・質量のある立体
※3 サーフェスモデル:体積・質量を持たない面で構成された立体
「Creo」の画面上に結果を表示
結果は部位ごとに仕分けされて出力され、画面上には距離ごとのカラー分布、最短距離の位置が表示されます。また、結果を簡単にレポート形式で出力できるため、CADを使用しない方への情報伝達や報告の手段としても有用で、作業効率化に貢献します。
複数のモデルをバッチ機能で一斉検査が可能
複数のモデルを検査する必要がある場合、バッチ機能を使って一斉に検査する事ができます。検査結果はモデルに保存されるので、後から簡単に確認ができます。
このように、「3D Caliper」は検出漏れ、繰り返し作業、数値未検出などの問題を解決します。特に「Creo」をお使いのお客様はより効率的な設計・テストが行えるようになります。
今後理経CADグループでは、自動車業界をはじめとするさまざまな業界へ紹介を行っていきます。お客様のデータを使ったデモンストレーションなどもできますので、ご興味がございましたら、ぜひ下記までお問合せください。